テラフォーマーズ ネタバレ感想

(114)PREY FOR ME 九頭龍の呼び声

「やはり、最後の敵は…同じ人間だったな」

旧劇場版のエヴァンゲリオンで冬月コウゾウが戦略自衛隊の侵攻に際し放った一言。例えば最近の例では「進撃の巨人」などでも同様に、異質な敵の脅威を描いておいてその背後には人間同士の争いが深く関与している…というケースは多い。本作では中盤まで「日米」vs「中露」という20世紀の世情を反映したコテコテな構図だったが、途中で露が寝返ってすでに「中国」VS「その他」になってしまった。

かつて劉将軍は中国の国土が汚染されていることを嘆き、ミンミンと共に命の恵みがある土地を手に入れる(正確には他国から軍事力で奪い取る)ことを夢見たが、国土が荒廃し疲弊した状況であっても軍事的には大国として未だ健在。米国のグッドマン大統領がほとんど存在感をアピールできない中、中国はいつも不気味な空気を漂わせている。

九頭龍

龍というよりはタコに近い容姿だと思うのだが、いずれにせよ謎の動力で動くタマゴ型の武装航宙艦。その内部では凱(カイ)将軍と爆(バオ)将軍のやりとりがなされていた。

劉とジョセフを問答無用で爆撃した爆将軍に対し不満気な視線を向ける凱将軍。爆は行動は早いほどいいのだと言い、次なる目標…すなわち「サンプル」攫取へと移る。

「サンプル」であるミッシェルと燈はどこにいるのか、その情報を九頭龍は掴んでいない。その時遠方にて火山が噴気を上げるのが目に入る。

凱と爆は推察する。相当な人為的エネルギーを加えなければ冷えた火星での火山活動は難しい。エネルギーとはすなわちミサイルや衛星用燃料による爆破。高確率でそこには人がいるはず…。

この会話はまったくもって非論理的であり、何度読んでも腑に落ちない。「特に行くアテがないのでとりあえず様子を見に行こうか」という話のほうがよほど明解だが、将軍職が二人してうなずきながら「噴火は人為的なものだ。だからあそこに人がいる」などと言われても「え、なんで?」というツッコミしか湧き上がらない。噴火を人為的に起こす意味も不明だし、火山にミサイル打ち込めば冷えた休火山がいきなり噴火するという論理もわからないし、仮にそうだとしても普通は自分に危害が及ばないよう離れたところから操作するのでは?などと考えてしまうが、大丈夫かこの二人?

…だが、しかし! それで何事も無く成り立ってしまうのがテラフォーマーズのシナリオである。事実、活動を始めた火山の近くにはミッシェルと燈が乗り込む脱出機がおり、九頭龍はそこ目がけて移動を開始する。

群がるテラフォーマーたちを触腕からの熱線で焼き払いながら徐々にその威容が近づく。燈はそれが自分たちの敵であろうことを直感的に察知し、それが上空から発する炎に自分たちが巻かれて死ぬであろうことも予見し、咆哮する。

脱出機を取り囲み、地表を見渡すかぎり黒く埋めるテラフォーマーたち。その前に姿を表したゴキブリの首領らしき羽根飾りの個体(何の羽根だ…?)。さらに上空から迫る九頭龍。脱出機の戦力は燈、ミッシェル、八重子、負傷し気を失っているアレックス。まさに絶体絶命だ。よし、まずは八重子の悪臭でゴキブリを遠ざけよう! といった手段では逃れられそうにない。

この状況に心が折れたのは「ザ・ファースト」ミッシェル。車上に座り込み、ただ呆然と九頭龍を見上げる。彼女はすでに父の仇を討ち、すでに執着する対象を失っている(デイヴス艦長を殺害したのはヴィクトリアなのでテラフォーマーは仇ではないが…)。

絶望と諦念が支配する脱出機でただひとり、生きるために立ち上がった人間がいた。

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膝丸燈である。百合子を救えなかった無念、桜人との約束。彼にはまだ守るべきものがある。立ち上がる理由がある。

燈の隠された能力、本多博士が仕込んだ生来の能力がついに明かされるのか!?

つづく

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週刊ヤングジャンプで連載中の「テラフォーマーズ」に関する個人的な感想ブログです。

ネタバレには配慮しませんので、ストーリーを楽しみたい方は閲覧にご注意下さい。

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