テラフォーマーズ ネタバレ感想

(130)HATERS AGAIN 地獄の皇太子は二度死ぬ

突如として地球に姿を表した能力持ちのテラフォーマーたち。どこから? どうやって?

そして火星から消えたバグズ1号。答えはひとつだ!

舞台は地球へ

網で大量の魚を捕獲する水棲型テラフォーマー。

生でアザラシを丸のまま噛み砕く大型のテラフォーマー。

地図帳を片手に望遠鏡で現在地を確認する着衣のテラフォーマー。

場所は北海道、張君市。

10年前

ここでアメリカ大統領・グッドマンの回想が始まる。

かつて宇宙から地球へ飛来した未確認飛行物体を撃墜するよう命令したグッドマン。どのような手段なのか、迎撃ミサイルは避けられてしまい大気圏への突入を許してしまう。横からそれを撃墜したのはロシア軍の核ミサイルであった。

飛行物体の残骸は北極圏に落着。U-NASAが回収調査したところ、飛行物体はバグズ1号であり、その中には1体のテラフォーマーの死体が転がっていた。

調査レポートは、テラフォーマーがバグズ1号を偶然作動させて自律帰還プログラムが働いたものと結論付け、疑惑を残しながらもその後忘れられていたのだった。

この時代の宇宙船は単独で火星へ着陸し、燃料の補給も必要なくボタンひとつで地球へ帰ってこられるレベルのものらしい。「ドラえもん」ではほぼ同等の機能を備えた「宇宙救命ボート」が22世紀時点で実現しているから、それより更に未来のテラフォーマーズ世界ではおそらく造作も無いことなのだろう。

地球へ帰還したバグズ1号が撃墜される直前、繭状の物体が太平洋へ落下していた。

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卵鞘に見えるがサイズは「気球程度」と記されており、かなり大きい。この中に成体が潜んでいたのか、卵の集合体だったのかは定かでないが、いずれにせよそれを足がかりに10年の時を経てテラフォーマーの群れが北海道へ出現した。なぜ10年もの空白が必要だったのか、遠く隔絶された火星に現れた個体と酷似しているのはなぜか、疑問は尽きない。

開戦

火星からU-NASAの隊員たちを呼び戻すにはまだ時間がかかる。当面は地球上の保有戦力で事に対処するしかない。

幸い、敵はベジータやフリーザに比べればまだ常識的な部類で、ミサイルや核を使って広範囲を蒸発させることで殺傷できると思われる。

蛭間一郎はアメリカ空軍の北海道上空での活動を許可。空爆で一気に片をつけると息巻くグッドマン。これで本当にカタが付けばある意味斬新な漫画と言えるが…と、ここまで書いて何かを思い出した。

杉山敏の「インセクツ」だ。


インセクツ 1

とある理由で巨大化&凶暴化した昆虫の群れが街を襲うパニックホラーだが、最後に登場する天災サイズの超巨大生物をどうやって撃退するかというと、自衛隊の単純火力である。「あ、それでいいんだw」と安堵するような、物足りないような…。超常的な能力を持ったヒーローはおらず、一発逆転のウルトラCが存在しない世界。地道に武力で制圧するしかないという点では非常に現実的なストーリーで、グチャグチャして気味の悪い絵柄とともに妙に印象に残る作品だった。

街一つ踏み潰せるほどの巨大生物にリアリティがあるかどうかは置いておくとして、「ラスボスつっても生き物なんだからミサイル撃ちこめば死ぬでしょ」といった部分が現実的で逆に新鮮。巨大生物をモチーフとしたパニックホラーで「ハカイジュウ」という作品があるが、こちらは特殊生物相手に既存の武器はほぼ通用せず、人間とモンスターを融合させた生物兵器で格闘戦を挑むというトンデモ展開に割と興ざめした。よく覚えてないがスカイツリーをへし折って槍みたいにぶん回してたような気がする…こうして字面にするとちょっと面白そうだ。

インセクツにせよハカイジュウにせよ、序盤はリアルな日常風景が徐々に異界に侵食されていくという静かな恐怖を出発点とし、ホラー映画の手法を踏襲している。 

テラフォーマーズはホラーではなく超能力バトル漫画なので並べて比較する意味は薄いのだが、やはりもう少し設定にリアリティ、納得感が欲しい。 おそらく能力持ちの個体に米軍がミサイルを撃ちこんでもあっさり迎撃するか耐えるかしてビクともしないだろう。それはそれでいいのだが、やはりそこにそれなりの「理由」を求めたいのは欲張りすぎだろうか。

大人向けの漫画はとくにそうですが、「ゴルゴ 13」 のような突き抜けたキャラクターの主人公を設定する場合は、主人公の周りもリアルで固めるべきなのです。

「インパクトのある強烈なキャラクターの主人公」
「話のリアリティの高さ」

この2つのバランスの良さが、「ゴルゴ 13」 がヒットした最大の理由だと思います。狙撃シーンでさらにインパクトが出せますし、読者を「納得させながら」「驚かせる」ことができる設定になっています。リアリティを求めずただ荒唐無稽なだけでは、このようにヒットすることはなかったでしょう。

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最近のテラフォーマーズを読んでいると、この本の一節が強く想起される。科学的な裏付けが希薄で脚本に説得力が乏しく、何かにつけて「ゴキブリはすごい能力を持っているから何でもできる」「甲殻型は再生力が強いから手足がちょん切れても一瞬で元に戻る」で思考停止してしまっては、驚きもないしワクワクもしない。正しい制約があり、それを知恵や努力で正しく乗り越えるからこそ読者は引き込まれるのだ。

※次号、作者急病のため休載とのこと

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週刊ヤングジャンプで連載中の「テラフォーマーズ」に関する個人的な感想ブログです。

ネタバレには配慮しませんので、ストーリーを楽しみたい方は閲覧にご注意下さい。

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