テラフォーマーズ ネタバレ感想

(133)KISS 息吹

地球に現れたテラフォーマーの一団。

奴らを食い止めるためには火星の戦力を呼び戻す必要がある。人類同士で小競り合いをしている場合ではないが、火星の中国軍はその頃…?

拘束された燈

カイ将軍が指揮する航宙戦艦・九頭龍に囚われた膝丸燈。電撃を発する端子を埋め込まれ、その行動を抑制されていた。

おとなしくするよう説得を試みる将軍。曰く、昆虫型の薬は艦に搭載していない。高度6000mを飛行する九頭龍からは逃げ場がない。無駄な抵抗はやめて大人しくした方が身のためだというわけだ。

燈の闘争本能は折れかかっていた。それは自身が負った傷のためではなく、逃げ場がないことへの諦念でもない。自分の背後に横たわる女性の遺体、燈を救うために己が身を犠牲にして火星に散ったミッシェルの亡骸を、これ以上実験の名のもとに冒涜させたくないという切望からだ。

燈はミッシェルの遺体を実験に使わず故郷に返すならば、自分は中国軍に協力すると申し出る。さらに地に頭をこすりつけ、AEウイルスのワクチンを作ってくれと懇願する。U-NASAの病院でワクチンを待つ春風桜人のためだ。

燈のシナリオ上のゴール設定は極めて曖昧なものだ。AEウイルスにより病没した幼なじみ・百合子と同じ病気の子供を救いたくはないか? と小町に誘われて彼は火星に飛んだ。

どうあがいても当の幼なじみは戻ってこない。同じ病気の子は桜人だけではなく全世界に大勢いる。ワクチンを作ったところでそれが彼にとっての本当のハッピーエンド足りうるのか? それは主人公として読者にカタルシスを提供できる物語なのか? というのはかねてからの疑問だった。

このゴールの不明瞭さ、どこへ向かって物語が結実していくのかわからない迷走加減が、当作品を楽しむ上で今最も不安視すべき材料だと筆者は考えている。

誰かの拳

そんな筆者の思いをよそに、カイ将軍は燈の申し出をすんなり承諾する。

ミッシェルを冷凍保存するよう指示し、燈を別室へ連れて行こうとする将軍。

150319_01

それを誰かがグイと引き止め、振り向きざまカイ将軍の鼻っ柱が砕ける強打の右ストレートを放った。

パンチの主は燈の腑抜けた態度を一喝すると、そのまま外へ通じるドアを蹴り飛ばす。ここは火星の上空6000m。気圧差で一気に船内の空気が外へ吹き出す…かと思いきや、意外と皆平気だ。ちょっと風が吹いた程度。

「私のファーストキスは高くつくぜ」

そう言ってうそぶくのは、ミッシェル・K・デイヴスその人であった…。

つづく。

広告

週刊ヤングジャンプで連載中の「テラフォーマーズ」に関する個人的な感想ブログです。

ネタバレには配慮しませんので、ストーリーを楽しみたい方は閲覧にご注意下さい。

Return Top