テラフォーマーズ ネタバレ感想

(155)AN ORDINALY ABNORMALITY 愛が全てなら

ジョセフの回想、第二幕。前話の続きからである。

凶行

舞台は彼らの中学生時代に遡る。ジョセフにとって数少ない、気のおけない友人である同級生のジャックとミッシェル。その二人は橋のたもとで逢瀬を楽しんでいるかに見えたが・・・。

唇を重ねようとしたとき、不意にミッシェルはジャックを押しのけ、体調が優れないと言って踵を返した。彼女の様子を不審がるジャックに、クラスメイトの男子がおずおずと声をかけた。

今日の補習の際、教師がミッシェルを強姦しているのを目撃したと・・・。

そしてジャックは凶行に及び教師を素手で殺害。拘置所にぶちこまれている所へジョセフとミッシェルが駆けつける。金を握らせて黙らせようにも当の教師は死んでおり、ニュートン家の令息とは言えまだジョセフにそこまでの権力はなく事件化は避けられない。

ジャックはミッシェルの名誉を守るため、犯行の理由について最後まで語らなかった。そして学校へは戻ることなく少年院へと送致された。ジョセフとミッシェルを残して。

河原沿いの道を、うつろな目で押し黙って歩くミッシェル。右隣りを歩くジョセフはおもむろに口を開いた。

なぜ彼を信じてやらなかったのか、と。

その意味をはかりかねて目を上げるミッシェルに、ジョセフは淡々と続ける。全ては己が仕組んだ買収劇だったのだと。

教師を買収し、補習にかこつけてミッシェルにキスをさせる。

クラスメイトの男子を買収し、ジャックに彼女が強姦されたと告げ口させる。

この結果、ジャックとミッシェルの認識にはズレが生じた。彼女はジャックのことを、恋人がキスされた程度のことでキレて教師を撲殺する野蛮な男だと、心のどこかで軽蔑するようになった。一方のジャックはミッシェルが強姦されたのだと思っているから、決してそのことを口外しようとはしなかった。

そして物理的・精神的にジャックを失ったミッシェルは失意から逃れるためにジョセフに体を許し、すでに妊娠までしている可能性が高いという。

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ジョセフ

ジョセフはなぜこんなことをしたのか?

ミッシェルが好きでジャックから奪いたかった? 違う。それならわざわざ内実を彼女に暴露する必要などない。彼は確かめたかったのだ。愛情の尊さ、揺るぎなさを。

だがミッシェルはあっさりと心折れ、ジャックを見捨ててジョセフになびいた。ジョセフは己の愛なき出生ゆえに愛に憧れ、彼ら二人の愛を確かめてみようと考えてしまった。そしてそれはまやかしだと分かった。ジャックとミッシェルはその後再会し結婚したらしい。ミッシェルはジョセフの子とジャックの子、二人とも育てている。

ジョセフは思う。それは愛情ではない。目をつぶっているだけだと。

場面は火星、現在。

アリタケに寄生され理性が侵されたせいで、ジョセフの中に眠る本性が揺り起こされていた。それは今までの余裕げな、そしてどこか薄っぺらい笑顔ではなく、涙にまみれた憤怒の形相。

愛が本当に尊いものなら、いち人間ごときに簒奪されるわけがない。それを確かめずにはいられない。

そう泣き叫び、剣を振り回して劉や小町の腕を切り飛ばすジョセフ。小町は彼を止められるのか。

つづく。

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週刊ヤングジャンプで連載中の「テラフォーマーズ」に関する個人的な感想ブログです。

ネタバレには配慮しませんので、ストーリーを楽しみたい方は閲覧にご注意下さい。

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