テラフォーマーズ ネタバレ感想

(162)START OF THE YOUTH 先人の死

壮絶な死闘の果て、共に火星の大地へ伏した小町とジョセフ。その舞台を守るために、押し寄せる黒い軍団を引き付けて戦っていた二人の老兵がいた。

 遠くで救助艦が打ち上がるのが見える。光の帯を引いて宇宙へと駆け上がる希望の船を見上げ、互いの背中を支えに立つ劉とアシモフ。生き残った若者たちを火星から脱出させた彼らは、もはやその目的を達している。

残された命、まだ動く体を何のために使うか。見渡す限り、状況はかんばしくない。周りにはテラフォーマーの大群。上空からは九頭龍と、それに乗るカイが撒き散らすアリタケの胞子。こちらの戦力は疲労困憊の二人だけ。この場を生き延びたところで再び救助がくる宛てはない。

九頭龍に助命嘆願でもするかと、劉が軽口を叩く。中国語の命乞いを見てみたいと囃すアシモフを背に、劉が上空へ掲げたサインは中指を高く突き上げるそれだった。「年寄りが命乞いなんかするかよ、お盆になったらまた会おうぜ」ここに至って彼らに悲壮感はない。やれるだけのことはやったという清々しささえ感じる。

劉がしたことを考えれば、娘婿のアレキサンダーを中国班に殺されたアシモフが劉を笑って許せるのは理解に苦しむところだが、長く職業軍人をやっていると命の軽重が麻痺していくのかもしれない。劉には劉の正義がある、俺が同じ立場でもそうしただろうぜ・・・とでも言うのだろうか?

アシモフはそもそも娘とそのお腹の子をAEウイルスから救うために火星行きのクルーになった。母子ともに無事出産という知らせは地球から届いているが、娘と初孫のいわゆる幸せな家庭のためにアレキサンダーの存在は欠かせなかったはずだ。それをご破算にした中国班の裏切り行為をさっぱりと割りきれるものなのだろうか。すんなりと頷けない部分は残る。

ロシア班が見つけたもの

アネックスは本来6班で1000体のテラフォーマー個体サンプルの捕獲を目標としていた。終わってみれば確保できたサンプルはわずかに38体。多くの人命を失い得た対価としてはあまりにも貧弱である。

これを作戦失敗ととらえ、嗚咽を漏らす膝丸燈。救助艦フロンティアスピリットの中でうずくまる面々。だがその中で力強く口を開いたのはイワンだった。

読者諸氏は、ロシア班が火星到着直後に秘密裏の作戦行動を進めており、独自にピラミッドなどを調査していたことを覚えているだろうか。

その結果、彼らはラハブの遺産との接触に成功していたらしい。これまで断片的にキーワードでしか登場していなかったラハブ。イワンは何を語ろうというのか?

つづく

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週刊ヤングジャンプで連載中の「テラフォーマーズ」に関する個人的な感想ブログです。

ネタバレには配慮しませんので、ストーリーを楽しみたい方は閲覧にご注意下さい。

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