テラフォーマーズ ネタバレ感想

(165)RAIN 緑色の雨

張明明(ミンミン)と劉 翊武(イーウ)の過去回想はまだ続く。

そう言えばミンミンには不可解な謎が残されていた。燈に引き継がれたハナカマキリの能力がそれだ。

膝丸燈は本多によって創られた存在で、生来にして免疫許容臓・モザイクオーガンを持っている。そしてオオミノガとハナカマキリの能力を備えていた。

二人の母という言葉の意味が解き明かされないまま火星の激闘はひとまず区切りを迎えたわけだが、そのエピソードがこれから語られるに違いない。

緑化指定地域

環境汚染による伝染病への対策として、劉と明明の村は国際的な取り決めで「緑化指定地域」となった。

政府によって強制的な立ち退きを迫られた地域や民族もあったようだが、それはまだ人道的と言える。劉たちの村は立ち退き勧告すら出されず、住民の命や尊厳は一顧だにされることはなかった。

時の中国政府は一切の告知をしないまま上空から航空機による薬剤散布を実行。それは揮発性の毒を持つ「塗料」であった。

ちなみにこの話には元ネタがあり、現実世界の中国でもこれまでたびたび「緑化」のスローガンのもとに、山や村落を緑のペンキで塗るという驚くべき施策が行われている。

さすがに国家主導ではなく、緑化目標を上から押し付けられた地域の住民たちが「ええい、これでも喰らえい!」とばかりにヤケクソで山にペンキをぶっかけたというレベルの話なのだが、発想があまりに斜め上すぎてネットニュースとしてはそれなりに話題になった。

まともなソースがすぐに見つからないのでここには貼らないが、興味のある方は「中国 緑化」などで検索していただきたい。すぐに毒々しい緑の山並みが目に入るはずだ。

劉たちの村を襲ったのはそういった精神の延長上にあるものだった。

結果として村の住民はほぼ全滅、機転を利かせて屋内で息を潜めたミンミンと劉は助かったものの、劉の母やミンミンの義父は死亡したらしい。住民たちの遺体は村の中央にある工場へ搬入されている。

 

そもそも、これはなんの工場なのか?

なぜこんなインフラすらまともに整っていない土地に、不釣り合いな威容を誇っているのか?

母の姿を探して工場の中へ踏み入った劉は、そこで腑分けされる遺体の列を見た。

臓器売買。この村はその拠点であり、臓器の「生産」を行う場だったのだ。

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工場から蹴りだされた劉は「何でも使って国の中央で上に行ってやる」などと、学校にすら行ったことがない児童とは思えないようなギトギトした決意を突如みなぎらせるのであった。

再会

そして紆余曲折は省略し、十数年後。劉とミンミンは軍で再会を果たす。

彼らの胸にある想いは、官僚の腐敗を一掃した上で国土の自然環境を蘇らせること。そのためにはもっともっと偉くならなければならない。はっきりと目に見える形で手柄を立てなければならない。

ミンミンが選んだのは、アメリカへ渡りバグズ技術の情報を盗む諜報員の道だった。

彼女はアメリカでスパイ活動が発覚して捕らえられ、政治的な取引により手術の被験体にさせられる。そして(元スパイの経歴を考えれば不自然だが)副艦長としてバグズ2号に乗り込み、火星で大して活躍もせずに死んだ。

その表向きの年表に記された事実とは別に、ミンミンが工作員として果たしていた任務がある。それが膝丸燈に関係することは疑いようがない。

つづく。

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週刊ヤングジャンプで連載中の「テラフォーマーズ」に関する個人的な感想ブログです。

ネタバレには配慮しませんので、ストーリーを楽しみたい方は閲覧にご注意下さい。

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