テラフォーマーズ ネタバレ感想

(36)ILLNESS 病

南極を発し、太平洋から日本沿岸を目指し進軍したテラフォーマーの大群は米・中のパルスグレネードミサイルによってその8割を失ったものの、残存戦力だけでも相当の数に上り、いまだ波状攻撃を続けていた。

それに呼応するかのように世界各国から応援の軍隊が駆けつけ、日本の海岸線に防衛ラインを引く。しかしそれは義勇や平和を愛する心、まして人類共闘といった美辞麗句の類からではなく、徹底したビジネスである。

といってもアメリカが資源目当てに中東へ武力介入するようなケースとは異なり、今回の目標は生きたテラフォーマーからモザイクオーガン(MO)を大量に獲得することだ。

MO技術は人類の身体能力を劇的に向上させ、理論上は地球に生きるありとあらゆる生命の長所を取り込んで、目的に応じ特化した能力者を作り出すことができる。その最も普遍的なものが軍事であり、要するにすごく強い兵隊さんを作れるわけだ。

広範な戦場における面制圧では旧来の戦争技術に一日の長があり、銃火器を用いた戦術がまだ優位と言えるものの、中国軍施設への潜入作戦のような少数による工作であれば、特殊能力を持ち肉体を超強化された兵士の有用性は火を見るより明らか。自国の戦力強化・軍需産業の利潤・それらに基づく国際社会でのポジションの獲得を目指し、どこの国もMO技術の開発競争に予算を投じて鎬を削っている。

MOの技術で世界を表立ってリードしていたのはドイツだが、彼の国が開発したAEウイルスを用いてMO手術の成功率を高める技術はすでに各国へ伝播している。表立っていないのはミッシェルの遺伝によるMO獲得や、本多によってデザインされ先天的にMOを持つ燈の存在で、彼らは今なお貴重なサンプルとして各国に注視されているようだ。

ただしミッシェルと燈の存在はユニークであり未知数。国家としては彼らを捕まえて解剖する賭けに興じるよりも、すでにある程度確立されているAEウイルス頼みの技術でそこそこの戦力を増産するほうが確実であり理にかなっている。

そんなわけで、テラフォーマーが南極から大挙して日本に押し寄せるのを待ってましたとばかりに、各国が救援の名のもと日本国土にズカズカ踏み入っては戦争に興じているというわけだ。

さてそんな中、ある地域で1人の一警護社員が、マワシを締めたテラフォーマーにのされて大の字になっていた。彼の名は風邪村一樹。病気のため休職中とのことだが、身長223cm・体重111kgと規格外の巨体を持ち、かつてはジャパンランキング1位に君臨していたらしい。

病気治療のためMO手術による形質追加を繰り返し、実験的に複数の生物を融合して作られたキメラタイプだ。コードネームは人為鵺(マスティコア)。ジョセフほどではないものの、健康体であった頃は明晰な頭脳にスポーツ万能を誇っていたようだ。

生身での戦闘ではあっさりと力士型テラフォーマーに敗れたものの、鵺に変態した姿はさながら尾の生えた烏天狗。もともとの巨躯とあいまって迫力満点である。故郷を守るため、風邪村の反撃が始まる。

次号(01/19)は休載。

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週刊ヤングジャンプで連載中の「テラフォーマーズ」に関する個人的な感想ブログです。

ネタバレには配慮しませんので、ストーリーを楽しみたい方は閲覧にご注意下さい。

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