テラフォーマーズ ネタバレ感想

(42)WORKING MAN 鬼塚慶次

鬼塚慶次


彼は地球でボクサーという職に就いていた。
その業績たるや、ライト級世界チャンピオン、Sフェザー級世界ランキング1位。
どこに出しても恥ずかしくない、日本が誇るべき選手だ。

彼は極めて勤勉で地味な生活をしており、
教本通りのスタイルで堅実に判定勝ちを取る、ショービズ的には金にならない王者。
確かに慶次が主人公のボクシング漫画があっても、熱心なボクシングファンしか読まないだろう。
幕之内一歩が全試合KOで相手を倒している時、
ジムの仲間は素人受けがいい/観客のストレス解消になると評したがその通りだと思う。

そんな慶次のモチベーションを支えるのは母親。
郷里の離島で病床に伏せっているものの、
世界王者になってなお甲斐甲斐しく自分の世話を焼く孝行息子を誇らしく思っているに違いない。

 

転機


そんな彼に訪れた転機、それは網膜剥離であった。
目の手術をして地元へ帰り、郵便配達の仕事をする慶次。
もともと、人と殴りあうような気性ではなかったこともあり、悔いている様子は見られない。
自分にはこっちの方が合っていると。

そんな彼にU-NASAから連絡が来た。
借金返済のためにテラフォーミング計画に参加し、MO手術を受けろと。
地元では顔にこそ出さなかったが、慶次は網膜剥離のありとあらゆる治療を試していた。
藁をも掴む思いですがった相手に騙され借金を背負わされてしまう。
それほどに必死だった。

だが、治療がかなう前に病弱だった母が他界してしまう。
慶次の視力は日常生活に支障がない程度には回復していたが、
遠くのもの・・・例えば本土から故郷の島を見た時にピントが合わなかった。

もう戦う理由がない。そう言ってミッシェルとの食事の席を立つ慶次。
彼が口にしたのはスープと前菜だけ。
それは彼がまだボクサーとしての生き方を忘れていない証拠だった。

 

後日、慶次はU-NASAの門を叩く。
ベースの生物は一番目のいいやつにしてくれ-。
もう一度、本土から故郷の島を見るために。
たったそれだけの理由に彼は命を賭けた。

MO手術を生き延びた地球の拳闘家が、今火星のゴキブリとリングで向かい合う。

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週刊ヤングジャンプで連載中の「テラフォーマーズ」に関する個人的な感想ブログです。

ネタバレには配慮しませんので、ストーリーを楽しみたい方は閲覧にご注意下さい。

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