テラフォーマーズ ネタバレ感想

(55)END OF THE BRAIN 空の頭

地球からの救助船が来るまでの日数を指折り数え、希望をつなぐ火星の隊員たち。
しかしU-NASAの本会議場でアメリカ大統領・グッドマンの口から出た言葉は「救助艦は飛ばしておりません」というものだった・・・。

 

4日


アネックス1号への帰還を果たすため走行を続ける日米合同一・ニ班の脱出機。両機ともに故障で飛ぶことはできないため、地形に添って進んでいる。

もうかれこれ4日もの間、テラフォーマーの襲撃はない。初日の猛攻が嘘のようだ。ミッシェルは訝っていた。

小町は推測する。ゴキブリたちの戦い方が途中からおかしかった。一糸乱れぬ動きで自分たちを追い詰めていたのに、急に統率が崩れ作戦展開が雑になっていた。指揮系統に何か問題が発生したのではないか?

もしそうだとしたら、このままアネックス1号に帰りサンプル研究に着手できれば任務が成功する確率はかなり高くなる。このまま大きな谷がなければ、あと1日走ればアネックスに辿り着けるはずだ・・・。

 

ローマ・アフリカ班


脱出機でアネックスから飛んだあと、テラフォーマーに網で捉えられ消息不明になっていた第六班のクルーが初めて登場した。

どうやらジョセフの指示で洞窟に身を潜め、単独行動しているジョセフの帰りを待っているらしい。

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彼女たちは非戦闘員のように見えるが、ジョセフはどうやってあの網の包囲を抜け、何のために脱出機を一人で使って行動しているのだろうか?

 

ピラミッド


アシモフ率いるロシア班は引き続きピラミッドの調査を進めていた。そこはドーム状の部屋。壁や天井に星の絵が描かれたあの部屋だ。

アシモフが言うには、これは近隣のピラミッドを崩しそれを材料としてテラフォーマーに作りなおされたもので、いわゆるラハブの神が造ったものではない。

これを実現させるには、高い知能と明確なヴィジョンを持ち、火星が球体であることを理解して外科手術を行うこともできる強力なリーダーがいるはずだ。だが自分たちに追手がかからないことから見て、おそらくそのボスは死亡している。人類は物量では負けているがリーダーを潰すことが出来れば勝機はある。

皆目わからないといったイワンらを尻目に笑みを浮かべるアシモフだったが、しかし彼らが探している「アレ」はここにもないようだった。我々読者がかつて目にした、そこに鎮座しているはずの「剣」は台座から消え失せていた・・・。

 

メモ 神殿更新


アシモフの口から「神殿更新」という耳なれない言葉が出て来ました。なんじゃこりは?
(引用) インカ帝国では、国家のための建設や農作業に人民を働かせる場合、その間の食事と酒は施工者である国家が提供した。この慣習はアンデスでは非常に古くからあったと考えられるので、形成期にまでさかのぼるとすると、神殿更新時の労働力に対しては神殿の管理者が酒食を提供したものであろう。一方、神殿側は一般の農民に生産物の幾分かを神殿に寄進させたであろう。新しく建てる神殿の規模は前よりも大きくなる。その分、労働量は多くなり、そのためには更新の時までに食料などをより多く神殿の倉庫に蓄えておかねばならない。そのために神殿は農民に生産を高めるよう要請する。その要請はまた人口増加を奨励するものでもあった。

神殿がこの要請をできるのは、宗教の正当性にある。一般の農民が神殿の祭祀とそのもとにある宗教を信じたからである。農業も建設の労働も宗教的行為という一面を備えていた。生産量の増加のために、品種改良や増産技術には積極的な関心がもたれ、そのような技術革新はすばやく各地で採用された。一方、神殿の管理者も更新のたびに祭祀や神殿の装飾などに洗練を加え、更新の正当性の論拠を強化した。

こうして神殿更新は、当初は単なる神殿の建て替えを行う慣習であったが、次第に技術革新を促進する効果を発揮しはじめ、さらには宗教思想とその表現方法の洗練を強化し、労働力の必要が増して人口増加を促進し、さらには増加した人口の社会的統制の必要が政治制度の改変に向かわせたのである。中央アンデスでは神殿更新こそが文明化の最初の原動力となったのである。

http://www.um.u-tokyo.ac.jp/publish_db/1997Expedition/04/040400.html

アカデミックで面倒な文章ですが、要するに「神殿の建て替え事業を定期的に行うことで宗教の権威を保ち、同時に技術の促進が行われた」ということのようです。

 
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週刊ヤングジャンプで連載中の「テラフォーマーズ」に関する個人的な感想ブログです。

ネタバレには配慮しませんので、ストーリーを楽しみたい方は閲覧にご注意下さい。

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