テラフォーマーズ ネタバレ感想

(73)BURNING BLOOD 我のある生物たち

妊娠中にAEウイルスに罹患した妻ジーナとお腹の子を救うため、何を捨ててもワクチンを手に入れると決意したアレキサンダー。

防護服なしで紅(ホン)が毒を撒き散らすアネックス艦内へと単身潜入し、トラップを使いながら中国班の雑魚兵士をなぎ倒す。

彼に残された時間はあと僅か・・・

 

決死の覚悟


アレキサンダーの手術ベースがここで明らかになる。スマトラオオヒラタクワガタ。

アゴは強靭で鋭いが、透明化したり再生したりという目立った特殊能力はない。劉いわく「地味な昆虫型」。

中国班の精鋭たちが集団でかかれば物の数ではないが、今は毒素が充満しているため防護服をはずせない。

それでは人為変態もできず、能力も発揮できないため生身のアレキサンダーが戦闘においては有利だ。

(それでもジェットは防護服のままパンチでドアをぶち破ったりしていたが)

 

後続の突入路を開くため、細菌型の能力を発現させ生きた城壁となっている紅(ホン)を仕留めるべく倉庫へ向かったアレキサンダー。

目の前には紅(ホン)が一人、壁に追い詰められて怯えている。丸腰の、まして年端もいかぬ少女を殺害する・・・

「家族」を知る前のアレキサンダーなら抵抗はなかったかもしれない。だが今はいくばくかの逡巡がある。

それでも自分の使命を思い出し己を鼓舞し、懐から彼が取り出したのはスペツナズナイフ(刃を射出できるナイフ)。

クワガタの大顎を刃の代わりに使うキワモノだが、刀身が軽く片手で使えるのが幸いした。

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およそ白兵戦には秀でていない紅(ホン)だが、さすがに無抵抗でやられるまいと、どこからかナイフを取り出し震えながらもアレキサンダーを睨み返す。

その姿に動揺し、数瞬のためらいがアレキサンダーの命運を決した。

彼がナイフを放った瞬間、床が割れてジェットとドルジバーキが飛び出しナイフの刀身をはじき返したのだ。

彼らは防護服をはずし、ドルジバーキの嗅覚(ベースは不明)でアレキサンダーと紅の居場所を探知して追ってきた。西(シイ)も続いている。

紅(ホン)を失う訳にはいかない。そう、中国班にも軍人としての決死の覚悟があった。

 

オーバードース


ジェットは密かに自分専用の索敵装置を武装として持っており、近距離であれば煙の中でも敵の位置を正確に測定できる。

ここまで鼻で連れてきたドルジバーキを下がらせ、代わりに前に出たのは西(シイ)。ミサイル車両での脅しをご破算にした相手だ。

彼女の能力は透明化、そしてトンボ型テラフォーマーに食いちぎられた手足が戻っていることからイカの仲間だとアレキサンダーは推測する。

手足への攻撃は無意味、首を飛ばすしかないと踏んだ彼は西が透明化できていないイヤリングの反射を目印に斬りつけるが、それは彼女の罠だった。

瞬く間に三連打の猛攻を浴び床に崩折れるアシモフ家の娘婿。終わったかに思えたが、彼が最後に取った手段はアンプル4本分の同時注射。

テラフォーマーズ第一部の最後にティンが見せたのと同じ、もう戻ってこられない変態である(こう書くと度が過ぎた変質者みたいに思えるのが悲しい)。

 

アレキサンダーは半ばクワガタと同化し、顔も腕も人間のものではなくなってしまう。油断した西(シイ)を鉤爪で捕らえ締め上げる。

ドン、と彼の体にぶつかるものがあった。

背中から抱きつく紅(ホン)。ナイフで刺したのではない。ただ抱きつき、そして涙を流し西の助命を懇願する。

ページをめくるとそこにはアレキサンダーが横たわり、中国メンバーは全員無事であった・・・。

 

全てを失う覚悟で挑んだはずなのに、目の前の紅を始末できなかったアレキサンダー。

彼が家族を得て手に入れた強さは、そのまま弱さにも繋がっている。守るものができた代わりに敵に感情移入するようになってしまったことが彼の軍人としての致命傷となった。

迷い、ためらい、そして紅(ホン)の無力化という目的を果たすことなく死したアレキサンダーだが、劉 翊武は彼によって破壊されたミサイル(?)を見て嘆息する。

「”これ”までやられているとはね・・・大打撃だよ」


「いつだって相手にしたくないね・・・ああいう死んでまで戦う理由のあるヤツはな・・・」


永遠の休息を手に入れたアレキサンダー。妻ジーナが彼の死に様を聞けばきっと誇ることだろう。
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週刊ヤングジャンプで連載中の「テラフォーマーズ」に関する個人的な感想ブログです。

ネタバレには配慮しませんので、ストーリーを楽しみたい方は閲覧にご注意下さい。

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