テラフォーマーズ ネタバレ感想

(108)THE 12SECONDS 12秒の革命

そもそも、彼らアネックス号のメンバーが火星へ行ったのは何のためだったのか?

個人の目的は様々だ。

借金返済のため報酬が欲しいから、軍属で命令されたから…。

一方、アネックス号の公の作戦目的は「AEウイルスの抗体を作って持ち帰ること」。

そのためにアネックスには薬品の研究設備が備えてあったし、火星探索機を兼ねる脱出機にもテラフォーマーを収容するコンテナがついている。

AEウイルスのキャリアであるテラフォーマーを捕獲し、それをアネックスで研究し、抗体を作って帰還する。ただそれだけのミッションだったはずだ。

 

だが、火星についてみればこの作戦の実態は、各国が軍拡のために仕組んだ代理戦争であった。

モザイクオーガン(免疫許容臓・MO)の移植手術の成功率は極めて低いが、それを人為的に遺伝させる技術を本多博士は持っている。

彼の所在は不明だったが、博士が残した手術の成功例(膝丸燈)を研究すれば何か分かるかもしれない。

そして先天的MO人間を大量生産できれば、それは国家の軍事力となる。だからどの国も自国で技術を独占したい。

 

膝丸燈のような手術ではないものの、親から自然生殖でMOを受け継いだミッシェルもサンプルとしては貴重だ。

燈とミッシェル、そして居所がバレて身柄を拘束された本多博士。その全てが日米合同班の手中にあるのを見て苦々しく思っている国は多い。

火星なら。

危険な敵性存在が跋扈する火星であれば、何が起こっても全ては事故で片付く。

 

そしてそれを実行に移したのは中国だった。

マーズランキングを偽装して軍属の精鋭を非戦闘員の体裁で乗り込ませ、着陸前に騒ぎを起こしてプランを変更。その後全滅を装い潜伏していたが、タイミングを見て蜂起しアネックスを占拠。

地球との通信を妨害電波により遮って火星の状況が地球からわからないようにした。そして救助の名目で中国が地球から船を送る手はずになっていたが、その船は実は武装満載の軍艦。

軍艦が到着したら火力で日米班は殲滅される。それが嫌なら膝丸燈とミッシェルをサンプルとして引き渡すよう要求した。

 

日米班は対抗策としてロシア班・ローマ班と合流し、アネックスを奪還し地球に救援を求めたい。これが7巻の中盤(60話)くらいからの話。

それが108話にてようやく一区切りついた状況だ。長かった。「無限の住人」の人体実験編、「ヴィンランドサガ」の奴隷農場編と同じくらい、「もういいから早く次行けよ」と感じながらの鑑賞だった。

 

アミリアが繋いだ時間


残る命の全てをつぎ込んで地球との通信を回復し、「助けて」とだけ伝えた刹那再び通信途絶したアミリア。

その背後には新手のテラフォーマーの群れが迫っていた。

そこへ間一髪で助けに入ったのはマルコスとジャレッド。マルコスは外で爆(バオ)クローンたちを相手にしていたはずだが戦闘力ではマルコスに分があったようだ。省略された爆さんたちに黙祷。

 

アミリアが目を覚ましたのは車両の上。火星の空の下、ガタゴトと荷台に揺られていた。

寝かされている潜入チームの他に、ロシア班、小町や三条の姿もある。

そしてもう一組。両手を粘着テープで縛られた紅(ホン)と西(シイ)だ。

護衛の中国班がいない今、紅一人ではマルコスに対抗できない。西の命を救うために血清を差し出して保護を求めたようだ。

なので結局、細菌毒で倒れた潜入チームは誰も死んでいない。この連載の初期とはえらく違った、雰囲気の優しい漫画になってしまった。

ちなみに一緒にいたはずの爆(バオ)の姿はない…。アンボイナ型テラフォーマーの毒で退場か?

 

アミリアは朦朧としていて覚えていないため、通信の結果を尋ねる。

彼女がつないだ10秒ほどの時間、その間にミッシェルがドイツ支局と通信し中国の裏切り行為を伝えていた。結果的には成功だったわけだ。

車上に安堵が広がる。

140828_ミッシェルさん

 

懸念はドイツ支局が通信内容をすんなり公表し中国を糾弾するか?という点。

ドイツは火星での活動ができる部隊をすでに失っている。だが何としてもMO利権に一枚噛みたいという腹は他国と同じだ。手札をなくして最も面白くない状況なのはドイツに違いない。

「火星からウチにこういう通信が入ってきている、公表するもしないもこちらの胸三寸だ。どうする?」

こう言って中国と組み、通信を握りつぶすことも不可能ではないだろう。そして中国のおこぼれに預かる…。そういったシナリオは描けないだろうか。

 

劉 翊武


「たとえ地球へ帰れなくとも膝丸燈は渡さない」

意味ありげな、それでいて強い決意の宿った表情で燈の乗る脱出機へミサイルを打ち込もうとする劉。アネックスからは遠く離れ、ミサイル車両で移動中だ。ジェットやドルジらがここへ合流に向かっているはず。

その発射直前に車両の前に立ちふさがったのは、人類最強ジョセフ。さあお仕置きの時間だ。

つづく!(次号休載)

 
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週刊ヤングジャンプで連載中の「テラフォーマーズ」に関する個人的な感想ブログです。

ネタバレには配慮しませんので、ストーリーを楽しみたい方は閲覧にご注意下さい。

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